ヴィラ・デステ 日曜日、早朝のガランとした地下鉄に乗ってミラノ中央駅に着きます。切符売り場で、コモ・サン・ジョバンニ駅までＩＣの特急券をとりあえず買いますが、時刻表を確認してこなかったので、インフォーメーションのおじさんに調べてもらいます。丁度良い時間の列車があり、直ぐに乗り込むと、８時２５分発のチューリッヒ行きの特急です。指定のボックス席の片側には、ハイキング支度の若い青年が読書に夢中でした。 コモの街 約４０分、コモ・サン・ジョバンニ 駅に着きます。下車したお客はちらほら見掛ける程度で、駅前も有名観光地らしくありません。 人通りもまだ少ない街を、コモの中心部へ歩いて行きます。大聖堂に着くと、丁度朝の礼拝が終わったところでした。コモは中世に自由都市として栄えたそうですが、立派な大聖堂は当時の栄華を思い浮かばせるものでした。 カヴァール広場などを一周して、赤い椅子が目にしみる「カフェ・ピエトロ」で一休みします。ようやく人が増えてきました。 遊覧船乗り場のあるローマ広場へ向かいます。乗り場も遊覧船もいつの間にか、大勢の人々で溢れていました。 コモ湖 コモからチェルノッビオまで約１５分の短い船旅です。岸辺の山腹斜面に立つたくさんの別荘、ヨット、遠くにはアルプスの前山を見ながら、心地好い湖面の風を受けながらの遊覧船です。 コモ湖 散策 チェルノッビオの岸辺から、今日の目的地「ヴィラ・デステ」が見えます。モーターボートがヴィラ・デステに入っていきます。昼食にはまだ早いし、これからの予定を思案します。先ず湖畔の散策をすることにしました。 ヴィラ・デステの入口を通りすぎて、しばらく行くと展望の効いた所に出ます。ヴィラ・デステも良く見えます。また別荘でしょうか？、山腹斜面を少し下ったむこうに古風な建物が見えます。そろそろお腹も空いてきたので、ヴィラ・デステに行ってランチでも食べることにします。 ヴィラ・デステでランチを from VILLA D'ESTE, 2003 ヴィラ・デステの入口には立派な鉄格子の扉があります。守衛所のガードマンからは宿泊者であるかどうか聞かれて、食事に来たと返事をすると、やや渋い顔でカードを渡されて、必ずレストランでスタンプを押してもらうように繰り返し言われました。ただの冷やかしの観光客は、お断りなのでしょう。大木の間を縫うように湖岸沿いを歩いて行くと、やがて白い本館に着きます。ヴィラ・デステは１６世紀のヴィラをホテルに改装したものだそうですが、特徴的なオレンジ色の建物はやや離れています。今ではいわゆる旧館なのでしょうか。今日は初夏のような陽気で、テラスやプールには大勢の滞在客がいます。ミラノ市内はまだ黒系の冬服全盛ですが、こちらはリゾートらしく、白系の夏服の人々が大勢見受けられます。 外のテラスで食事をしている人は大勢いるのですが、ホテルの中のレストランには人影がありません。ホテルのスタッフに尋ねるとどちらでも同じですよと言われて、暑い日ざしを避ける意味でもホテルの内にしました。レストランVeranda は、大きな硝子窓からなり、良い眺めです。窓辺には、小型の白いアジサイの花がたくさん並んでいます。 ランチの主菜は、 牛肉の煮込みとミラノ風リゾット、夏野菜のスパゲッティです。 そのうちに、湖面に面した上席に３世代の一族とおぼしき１０人あまりがやってきました。小学生程度の子供達も含めて、みんなきちんと正装をして、おじいちゃん・おばあちゃんを中心に楽しそうに食事をしていました。イタリアの上流階級の過し方なのでしょうか？。 ヴィラ・デステの庭園 昼食をすませた後、もちろん守衛所で渡されたカードにちゃんとスタンプも押してもらい、ホテルのロビー・ラウンジに行きます。人影はまばらですが、落ち着いたなかなか洒落た雰囲気です。 再び外に出て、こんどは有名なイタリア式庭園を見に行きます。半円形状の壁に施された装飾や彫刻、その裏に山腹に向かって走る並木道と最奥部に見える彫像、不思議な造形です。 歩いていくと直にホテルの正面玄関に出ます。湖面側はリゾート風のカジュアルさ、山側は古風でフォーマルな雰囲気です。 from VILLA D'ESTE, 2003 ホテルを後にして、また遊覧船に乗ってコモへ戻ります。帰りはミラノ・ノルド鉄道のコモ・ノルド・ラーゴ駅から帰ります。駅の入口を間違えて、駅の周りを一周してしまいます。ラーゴ駅は実に大衆的な雰囲気の駅で、ミラノに帰る大勢の人達でごったがえしていました。改めてこんなに大勢の人が遊びに来ていたのかと、驚きました。 １７時１４分にようやく発車した列車は、山あいを自転車のような速度でのんびりと走っていきます。これでミラノまで１時間で着くのだろうかと、不安になりますが、マルペンサ空港あたりからでしょうか、いつのまにか快速運転になって、定刻１８時２５分にスフォルツェスコ城に近いカドルナ駅に滑り込みます。疲れましたが、楽しい一日でした。 CONTAX 645 P80mm F2 / Fuji PN400 Fuji TIARA ix TITANIUM 作成日 2004/10/01、最新更新日 2008/7/7